システム活用術
IT活用のヒント
システム会社の選び方
システム活用を行う場合はよりよいシステム会社に依頼したいものです。数あるシステム会社の中から本当に納得できるシステム会社を選ぶ3つのポイントをご紹介します。ここでのポイントは大企業が行う数千万~数億円という大規模プロジェクトを想定しているのではなく、数十万~数百万円のプロジェクトを想定しています。
ポイントをご紹介する前に、まずはシステム業界の概要を簡単にご説明します。システム業界では他の業界と同じように元請け、2次請け、3次請け、・・・のようにピラミッド構造になっています。ピラミッドの中には請けた仕事を自社の開発者ではなく、さらに下請け会社の開発者を自社の開発者として元請けに送り込むということも珍しくありません。また
システムは「人間」が設計して開発するものです。ですのでシステム構築の成否は個人の能力に依存することがとても大きいということが特徴でもあります。
ピラミッドの頂点を探す(元請けの多い会社を選ぶ)
ピラミッドの頂点にあたる元請けの役割は大規模プロジェクトと中小規模プロジェクトでは若干異なってきます。複数のサブシステムを構成するような大規模プロジェクトの場合、システム化の範囲が多岐にわたっているため、元請会社はシステムの内容を決定する
システム設計がメインの作業となり、プログラミング等のシステム開発は下請けに依頼する事が多くなります。
そのため下請け業者では、システム設計のノウハウが蓄積せず、
システム導入の背景や目的など基本となる事が分からないままプログラミング行わなければなりません。しかし、中小規模のプロジェクトはシステム化の範囲を包括的に捉えられる事ができるため、システム設計からプログラミングまで1社で行う事ができます。そのため、同じ企業規模でも元請としてピラミッドの頂点に立っている企業は存在します。
システム会社を選ぶもうひとつの重要なポイントとしてコミュニケーションスキルがあげられます。元請企業は要件定義からのシステム構築を行いますので、依頼主であるお客様とコミュニケーションが取れる立場ですので、コミュニケーションスキルは向上します。システム活用はお客様のビジネスの発展させるための手段・道具ですので、お客様のビジネス・想いを正しく把握するためのコミュニケーションスキルがあるかどうかはとても大きなポイントです。
理想を言えば、ピラミッドの頂点で、なおかつ開発は自社で行っている(少なくとも外注は2次まで)システム会社を探したいものです。そうすることによって無駄な商流が少ない分、中間マージンが減り、単価が安くなるだけでなく、お客様とコミュニケーションが十分に取れて、期待した効果の高いシステム構築が行えます。
会社の実績に必要以上に翻弄されない
やはりシステム会社を選ぶ際にはその会社の実績がとても気になります。実績のある会社はとても安心感があります。ただ、会社の実績だけで判断するのはとても危険です。何故なら、先ほども述べたようにシステム構築は個人の能力への依存が高いという特徴があります。会社の実績が素晴らしくても中心となる担当者の実績が乏しければ、注意が必要です。プロジェクトに火が付き、鎮火させるために実績のある人員を新たな投入しなければならなくなった場合には別途費用を徴収される場合もあります。
例えば、有名大学の大学病院という大きな病院ならばいろいろな実績があって安心できるのですが、仮に手術をする場合、必ずしも経験・実績のある教授が行ってくれるかどうか分かりません。ひょっとすれば大学病院の中でも経験が乏しい医師が行うかもしれません。それならば、有名病院でなくても実績・経験のある診療所の医師の方がより安心できるのではないでしょうか?
そこで重要となってくるのは会社の実績(ノウハウ)をいかに社内で共有しているかというです。先の大学病院の経験・実績の乏しい医師が実績のある教授の指導のもと手術を行うのならば、安心することができます。また自社の実績(ノウハウ)の共有だけでなく、研修制度など個人の能力を高める対策を取っている会社は良い会社と言えます。
また実績を多く掲げている場合でも、その実績が依頼主と直接コミュニケーションを取って築き上げた(元請けの)実績なのか、元請会社から下請けをして築き上げた実績なのかは重要なポイントになります。システムを設計書どおりに構築するだけの会社ではなく、お客様の業務を考えて提案し、それをシステムに反映(システム設計)ができることが大切なポイントです。
パートナーとして共にビジネスを考えてくれる
ほとんどのシステムは一度、構築したらそれで終了ではなく、メンテナンスやお客様の事業展開に併せてシステムを改良していく必要があります。その都度、単発でシステム開発を安価でいろんな業者に依頼することも考えられるのですが、継ぎはぎのようなシステムになってしまい、徐々に使えないシステムになっていく可能性がでてきます。
もちろんお客様でシステム方針が明確で、その都度システム会社にすべてを説明して理解させることでこの問題を解決することもできるのですが、お客様の人的コストがかかってしまいます。大企業のようにシステム担当の部門があればいいのですが、中小企業の場合はシステム部門を兼用している場合が多く、本来の業務を割いてしまうことになってしまいます。
システム活用はお客様のビジネスを発展させるための手段・道具ですので、本来のビジネスが疎かになってしまっては元も子もありません。また、システム会社は単独では存在できません。システム構築はお客様のビジネスがあって初めて成り立つものです。ですので、お客様の立場でシステム活用の意義を考え、システム構築だけの会社ではなくシステム活用を提案してくれる企業と組んでいただきたいと考えています。
そのためにはしっかりとコミュニケーションが取れ、システム会社からの立場で話すのではなく、お客様のビジネスの立場に立って、システム構築やそのためのコスト、また今後の展開などお客様のビジネスにおいてのシステム活用を分かりやすい言葉で明確に説明し、納得させてくれるようなパートナーシップを築ける会社を探すことがシステム会社を選ぶ際に何よりも重要なポイントだと考えております。
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